こんにちは。神経症から回復しつつあるアキラです。
今回は、森田療法について知りたい人や、悩みにとらわれた人は、『我執の病理』(北西 憲二)という本を読むと良いよ、というお話です。
これイイですよ
神経症に関する本は、神経症が酷かった20代に、本屋や図書館にある本はほとんど読んだのですが(※軽い引きこもりで無職だったので時間があった)、現在は、この1冊を手元に置いています。
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2001年に出版。残念ながら、現在は絶版なので、買う場合は中古になります。
不安のリフレーミング
本から引用したい文章はたくさんあるのですが、ここでは森田療法の治療の第一段階として「不安のリフレーミング」という項目から、私が折にふれ読み返した文章を引用します。
・不安のリフレーミングー感情と自己の理解の枠組みを変える
では、膠着した状態にどのように変化をもたらすのだろうか。ブリーフ・セラピーで「リフレーミング」といっている理解の枠組みを変える技法であり、森田療法でも最も重視する技法である。精神療法はどの療法でも、悩んでいる人に別の理解の枠組みを提供し、そこから問題の解決を図ろうとする。(中略)
・不安の具体的な読み替え作業
不安の読み替え作業は、次のように行われる。
①不安は欲望から読み替えられる誰にでもある現象である。(欲望から不安を見る)
②不安は逃げようとすればするほど、取り除こうとすればするほど強まる。(不安の逆説)
③不安を持ちながらでも人は多くのことができる。(発想の転換)
④不安をコントロールするのではなく受け入れていくこと。(感情の受容)
⑤人が悩むのはその人の欠点や欠損があるためでなく、過剰に生きようとするからであること。(過剰説)
⑥問題の解決は不安を取り除くことではなく、自然で固有な生き方の探求にあること。(生きることに焦点を合わせる)
いま読んでも、心が動きます。
本の中身
本の内容をざっと挙げると、森田療法の創設者である「森田正馬の生い立ち」から、我執の構造、神経症の症例、治療方法、家族との関係、東洋的人間学との関係など、たいへん幅広いです。
自分が神経症だったり、家族が神経症だったりした場合で、一般人が森田療法について知りたいと思うことは、ほとんど網羅されてるはずです。
ただし、「神経症なら、この医療機関に相談すると良いよ」といった、具体的な相談先の電話番号とかは、記載されてないと思います。見落としてなければ。
本格派の本
幅広いといっても、中身は新書みたいに浅くないので、森田療法について「さわり」だけ知りたいときに、読む本ではありません。
森田療法について、そして「我執」について、深く、本格的に勉強したいときに読む本ですね。
おそらく、まだ一度もこの本をお読みになられていない人の想像を超える深さのはずです。
深いといっても、けっして難しい専門用語が並んでるわけでなく、読みやすい文章で書かれています。森田療法について全く知らない一般人が読んでも、十分理解できる内容です。
神経質の自己チェックリストとかも載ってるので、自分の気になるところだけ読むようにすれば、気軽に短い時間でも読めるでしょう。
変に薄っぺらい森田療法の解説本を何冊も読むくらいなら、これ1冊で十分です。
まとめ
この『我執の病理』は、私が大学生のときに神経症を発症して、その後10年ぐらい悩み、軽い引きこもりになり、「これじゃダメだ」といろいろ試行錯誤しているとき出会った本です。
この本を本屋で見つけた時の、「ウォッー」という感情や、体が熱くなったこと、見つけた本屋のにおい、日を変えて何度も立ち読みをして、「ヨシッ」と心を決めて購入したことなど、昔の記憶を今でも鮮明に思い出せます。
私の人生にとって特別の本です。
あなたも気に入ると嬉しいです。
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編集後記
最後に、おまけです。
私が本について勘違いしていたことを書きます。
改訂版が出てる?出てない?
同じ出版社、同じ著者から、新しく『回復の人間学』という本が出ています。
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2012年出版。
わたしは今まで、今回紹介した『我執の病理』が改訂されて、新しく『回復の人間学』というタイトルに変わっただけ、つまり、2つの本は実質的に「同じ本」だと思っていたのですが、勘違いでした。
手元にある『我執の病理』の目次と、出版社のページに掲載されてる『回復の人間学』の目次を見比べると、2つの本の中身の構成は、かなり異なります。
『回復の人間学』は、『我執の病理』の改訂版ではありません。
他の人のレビューをみても、別の本みたいです。
『回復の人間学』のレビュー
森田療法はこれと『我執の病理』だけでいいんじゃね?
https://bookmeter.com/books/5687109
危うく記事で、「『我執の病理』は絶版だけど、新しく『回復の人間学』として改訂されたので、そっちを買ってね」と書くところでした。ちゃんと調べてよかった…