「イデコと付加年金」両方に加入している人に朗報
この記事では、
・「イデコと付加年金」両方に加入
・イデコでまだ「年単位拠出」していない
なら、所得控除できる枠を年額7,000円余らせて損してるよ、という話をします。
2018年1月からイデコで「年単位拠出」が可能になった
2018年1月から、イデコの掛金の拠出方法として、「年単位拠出」できるようになったのをご存知ですか?
わたしはつい最近知りました。知るきっかけは、このブログに書かれたコメントです。コメントくれた人ありがとう!
そもそも「年単位拠出」とは何ぞや、という話ですが、詳しくはイデコ公式サイトを見てください。
年単位拠出とは
個人型年金の掛金は、毎月、定額の掛金を拠出(納付は翌月26日)していただくのが基本的な取扱いとなっていますが、平成30年1月より、掛金の拠出を1年の単位で考え、加入者が年1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出(年単位拠出)していただくことも可能になりました。
引用元:イデコライブラリ
「年単位拠出」が可能となったことにより、たとえば、
「イデコへの拠出を、1月は0円、2月も0円とする代わりに、3月は3万円と増やそう…」
といった風に、月ごとに拠出金額を自由に設定できるようになりました。
より柔軟な「イデコへの掛け金の拠出」が可能になったということです。
以前は、毎月同じ額を拠出する方法しか、ありませんでした。
たとえば、月1万円拠出すると決めたら、1~12月すべての月で1万円拠出する、という方法ですね。
今でも、この「毎月定額を拠出している」人が、多いはず。「毎月定額」方式でデメリットがなければ、そのままでOK。「年単位拠出」に変更する必要はありません。
2018年1月以降、以下3つの条件すべてにあてはまる人は、「年単位拠出」に変更することで、イデコへの拠出限度額(つまり、所得控除額)を、年7,000円増額できるようになりました。
※イデコへの拠出は、全額所得控除されます。
3つの条件
・「イデコと付加年金」両方に加入している。
・2018年1月からできるようになった、イデコの「年単位拠出」を、まだ利用していない。
・イデコに年811,000円まで拠出できる経済的余裕がある。
もしかしたら「年7,000円ぽっち」と感じるかもしれません。
ですが、「毎年7,000円を、イデコとして株などの運用にまわせて、その分はしっかりと所得控除され、なおかつ、それが10年20年と積み重なる」ことを考えれば、結構、…というか、かなり「オトク」ですよね。
これは、やる価値ありますよ。
「年単位拠出」にすることでイデコへの拠出(所得控除額)が毎年7,000円増える理由
次は、「年単位拠出」を利用すると、どうして所得控除できる額が年7,000円増えるのか?を説明します。
理屈は知らなくてOKという人は、この章は読み飛ばして、次の「『年単位拠出』の計画例」から読んでください。
■前提
付加年金には加入せず、イデコにのみ加入した場合、一年で最大816,000円、イデコに拠出することができます。
イデコへの拠出は、全額所得控除されますから、イデコを利用すると、最大で年816,000円所得控除できるということです。
※イデコにだけ加入した場合
イデコへの拠出限度額(=最大の所得控除額)=年額816,000円
しかし、イデコ加入者が、付加年金にも加入すると、このイデコへの拠出限度額「年816000円」は減額されてしまいます。
「付加年金に加入したんだから、その分、イデコへの拠出限度額は減ってもいいでしょ~」と、いうことだと思います。
この仕組みは、2018年以降も続いています。
付加年金に加入すると、イデコへの拠出限度額は減る。
ただ、2018年1月から「年単位拠出」が可能になったことにより、この減額分が少なくなりました。
■2018年まで
イデコ加入者が、付加年金にも加入すると、イデコへの拠出限度額は、年816,000円から年804,000円へ、年12,000円減りました。
つまり、2108年までは、「イデコ」と「付加年金」両方の制度を利用すると、一年で最大808,800円を所得控除できたことになります。
(イデコと付加年金、両方に加入した場合の)最大の所得控除額
イデコへの拠出限度額 | 年額 804,000円 |
付加年金の納付額 | 年額 4,800円 |
合計した所得控除額 | 計 808,800円 |
一方、先ほど述べましたように、付加年金には加入せず、「イデコにのみ加入」した場合は、一年で最大816,000円を所得控除できます。
(イデコだけに加入した場合)最大の所得控除額
イデコへの拠出限度額 | 年額816,000円 |
最大所得控除額 | 年額816,000円 |
両者の最大「所得控除額」を比較すると、
・(イデコと付加年金両方に加入)年額808,800円
・(イデコのみ加入)年額816,000円
差、7,200円
このように2018年以前は、「イデコと付加年金」両方に加入すると、毎年「7,200円」分、所得控除できる額が減ってしまう、というデメリットがありました。
本来「所得控除できた枠」を、付加年金にも加入することで、使いきれなくなってしまう現象。
これは、イデコへの拠出が、「月」単位しかなかったために、起きた現象です。
※2018年以前は、イデコ加入者が、付加年金にも加入すると、月の拠出限度額が、68,000円から67,000円へ、「月」単位で1,000円減額されていました。
参考(2018年以前)
自営業者の(通常の)イデコへの拠出限度額 | 月額68,000円 年額816,000円 |
付加年金にも加入した場合、イデコへの拠出可能額 | 月額67,000円 年額804,000円 |
このデメリットが、2018年1月より可能となった、イデコの「年単位拠出」により、ほぼ解消されました。
■2018年1月から
結論から言うと、
・「イデコにだけ加入」した場合と、
・「イデコと付加年金、両方に加入」した場合とで、
毎年所得控除できる額に、ほとんど差がなくなりました。
具体的に説明しますね。
2018年1月から、「年単位拠出」により、「イデコと付加年金」両方に加入している人も、イデコに年額811,000円まで拠出可能になりました。
イデコへ拠出できる額が増えた!
年額804,000円→年額811,000円
以前と比べて、7,000円の増額です。
そのため、「イデコと付加年金」両方に加入している人も、年最大で「815,800円」所得控除できるようになりました。
(イデコと付加年金、両方に加入した場合の)最大の所得控除額
イデコへの拠出限度額 | 年額 811,000円 |
付加年金の納付額 | 年額 4,800円 |
合計した所得控除額 | 計 815,800円 |
「イデコにのみ加入」した場合の最大所得控除額は、年816,000円ですから、差は年200円だけ。
年7,000円から年200円へ。
ほぼ無視できる数字になりました。
「年単位拠出」できるようになり、イデコ加入者が付加年金に加入するデメリットが減った、ということです。
長々説明しましたが、このような理屈で、2018年から「年単位拠出」ができるようになり、イデコへの拠出できる額(=所得控除額)が年7,000円増額になったよ~、という話でした。
「年単位拠出」の計画例
では、「年単位拠出」が可能になったことにより、どのような拠出計画を立てられるようになったのか、例をいくつか示しますね。
ちなみに、以下のサイトの記事を参考にしました。
https://www.tantonet.jp/archives/3472
ファイナンシャルプランナーの「鈴木 さや子」さんが、わかりやすく解説しています。一度目を通しておくとよいでしょう。
■注意点
「年単位拠出」が可能になったといっても、イデコへの拠出計画が、まったくの自由になったというわけではありません。
イデコへの拠出には、以下のような注意点があります。
・拠出限度額は、経過した月分が繰り越しで積みあがっていく方式。なので、1月に、いきなり拠出限度額全額にあたる「811,000円」を拠出することはできない。
・拠出回数は年1回でもOKだが、12月の拠出は必ず含めなければいけない。
このようなルールに沿った拠出計画が必要です。
年末に一括拠出するギャンブルパターン
極端な話、拠出限度額全額「811,000円」を、12月に一括で拠出することもできます。
イデコへの拠出計画例
1月~11月 | 月額 0円 |
12月 | 月額 811,000円 |
※注
先ほど述べたように、繰越方式なので、拠出限度額全額を一括拠出したければ、12月に拠出する必要があります。1~11月ではダメです。
この方法だと、「ドルコスト平均法」のメリットはありませんが、手数料を年額1,133円(月103円×11か月分)節約できます。
「ドルコスト平均法」のメリットを活かすパターン
「ドルコスト平均法」にもとづいた拠出も、もちろんできます。
わたしの計算だと、「イデコ」と「付加年金」両方に加入している人が、「ドルコスト平均法」のメリットを最大限活かそうすれば、下記のスケジュールになるはずです。
イデコへの拠出計画例
1月 | 月額 67,000円 |
2月 | 月額 68,000円 |
3月 | 月額 67,000円 |
4月 | 月額 68,000円 |
5月 | 月額 67,000円 |
6月 | 月額 68,000円 |
7月 | 月額 67,000円 |
8月 | 月額 68,000円 |
9月 | 月額 67,000円 |
10月 | 月額 68,000円 |
11月 | 月額 67,000円 |
12月 | 月額 69,000円 |
※注
拠出限度額は、経過した月分が繰り越しで積みあがっていく方式なので、イデコと付加年金両方に加入してる場合、1月分は67,000円が限度額になります。
これ以上の額、たとえば1月分を68,000円と設定することはできません(2月にならないと68,000円は無理)。
毎月67,583円(811,000円÷12ヶ月)が繰り越され、1,000円未満の端数は、1,000円以上になった時点で拠出できるからです。
ちなみに、わたしはこの「ドルコスト平均法」のメリットを活かした拠出計画を採用する予定です。
その他
これ以外にも、
・ボーナス時に多めに拠出する
・偶数月に多く拠出する
・上半期(もしくは下半期)に集中して拠出する
といった方法も、考えられます。
各自のお好みでどうぞ。
イデコを「年単位拠出」にするには?
では、どうすれば「年単位拠出」にできるのか。
■これからイデコに加入する場合
これからイデコに加入する人は、加入時に、月ごとに納付額を指定することで、「年単位拠出」にすることが可能です。
■すでにイデコに加入している場合
一方、すでにイデコに加入している人が「年単位拠出」するには、加入している運営管理機関への届け出が必要です。
具体的にどのような手続きが必要か。
この点、大手の運営管理機関を3つほど調べたのですが、すべて「電話で資料を取り寄せて、書類を提出する」という流れでした。
SBI証券
掛金を年単位で拠出したい
SBI証券iDeCoお問い合わせダイヤルへお電話ください。資料請求を承ります。
楽天証券
既に個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入されている場合、掛金の拠出区分変更届請求はお電話にて受付いたします。DCダイヤルにお電話ください。
マネックス証券
毎月の掛金額、引落金融機関の変更、掛金拠出の停止などは書面でのお手続きとなります。
以下のダイヤルにお電話をいただき、変更申込の書類をご請求ください。
つまり、「年単位拠出」に変更してければ、「まずは電話しろ」ってことです。
資料請求がネット上ではなく、電話するのが、すこし面倒ですが、仕方ありませんね。毎年7,000円の所得控除のためです。諦めて、すぐに電話しましょう。
近い将来、もっと簡単に「年単位拠出」に変更できるよう、改善される気もします。
拠出計画の変更は「1年で1回だけ」可能
注意していただきたいのは、拠出計画の見直しは、年1回まで、と決められています。
なので、たとえば「1月に拠出計画を変えて、その年の12月にもう一度変える」といったことはできません。
すでに今年に入り、拠出計画を変更したことがある人は、残念ながら、「年単位拠出」に変更できるのは、来年からになります。
わたしも、すでに2018年中に拠出金額を変更しているので(月額36,000円→月額67,000円に増額)、2019年になってから「年単位拠出」に変更するつもり。
まとめ~イデコは制度変更が多いので注意が必要~
いや~、イデコは、知らない間にどんどん利用しやすく、便利な形に制度変更されますね。
「年単位拠出」なんて、つい最近まで知りませんでしたよ~。
あやうく7,000円の所得控除を逃すところでした。あぶない、あぶない。
たしかに、イデコは、運用商品や掛金の配分を一度しっかり決めてしまえば、あとは基本的にほったらかしで大丈夫だと、よく言われます。
その通りだと思います。イデコは基本「放置」でOK!
ですが、イデコ制度は、けっこうな頻度で制度変更されるので、その点については、ネットニュースや、投資ブログ、運営管理機関からのメールなどを、日ごろからよくチェックしておく必要がありますね。
せっかくオトクな制度変更がされたのに、見逃したらもったいないですから。
今後も、新しいイデコに関する新しい情報を見つけたら、このブログで記事にします。
以上、ブロガーのアキラでした。
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↑竹川さんの本は、わかりやすいので1冊持っておくと便利ですよ。
もちろんネットにも、イデコに関する情報はたくさんありますが、ちょっと気になったことを調べたりするのに、まとまった情報が詰まっている本が手元にあると、やっぱり便利です。
わたしもこの記事を書くにあたり、ちょいちょいこの本を参照しました。